2026年新茶入荷のお知らせ
- Pin-chun Lin

- 6月9日
- 読了時間: 6分
今年だけの味わいを、ぜひお楽しみください

2026年の新茶が続々と入荷しました。
今年は、坪林の春季文山包種茶コンテスト受賞茶「優良賞」、宜蘭茶コンテストの「頭等賞」をはじめ、水出しにぴったりの四季春茶、毎年人気の柚花烏龍茶など、個性豊かなお茶が揃いました。
近年、日本でも台湾でも実感されているように、農作物は年ごとの出来不出来がますます大きくなっています。極端な気象の影響を受けやすくなり、同じ産地・同じ農家のお茶であっても、毎年まったく違う表情を見せるようになりました。
昨年は台湾北部の天候に恵まれ、春茶の生産量が非常に多く、手頃で品質の良いお茶が数多く出回りました。茶農家や茶師の方々も「20年ぶりの当たり年」と口を揃えるほどの豊作でした。
しかし今年は状況が一変しました。
阿里山や凍頂をはじめとする中南部の高山茶産地では深刻な雨不足に見舞われ、多くの茶樹が枯死する被害が発生しました。被害の大きさから政府による補助金が支給されるほど深刻な状況となり、4月下旬からようやく雨が降り始めたことで被害の拡大は食い止められたものの、すでに影響を受けた茶園も多く、阿里山などでは今年の生産量が例年の半分程度になると報じられています。
参考記事↓
一方、坪林や宜蘭など北台湾の茶産地では総雨量こそ例年並みでしたが、短期間に集中して降るなど気候の変化が顕著で、生産量は昨年ほど伸びず、おおむね平年並みとなりました。また、多くの茶師が「製茶は年々難しくなっている」と語っています。
そんな厳しい環境の中でも、素晴らしいお茶は生まれています。
宜蘭茶春季コンテスト|頭等賞
私が製茶を学ばせていただいている師匠は、このような難しい気候条件の中で今年の宜蘭茶コンテスト頭等賞を受賞しました。できるだけ多くの方に味わっていただきたいと思い少しだけ入荷させていただきました。
宜蘭茶は地理的に坪林に近く、製法や風味も文山包種茶に非常によく似ています。しかし、文山包種茶は条形茶であるためかさばりやすく、真空包装すると葉が折れやすいという欠点があります。
そこで宜蘭では「球形包種茶」という独特の製法が発展しました。
見た目は高山茶のような球形ですが、標高の低い産地で育つため、高山茶に多く見られる太い茎がほとんど含まれず、葉そのものの旨味と香りが凝縮されています。
真空包装ができるため鮮度を保ちやすく、収納性にも優れています。また、葉が比較的ほぐれやすいため、高山茶よりも抽出が早く、文山包種茶のような軽やかな飲み心地を楽しめます。
文山包種茶と高山茶、それぞれの長所を取り入れたような、宜蘭ならではのお茶です。
翠玉種の文山包種茶
今回入荷した文山包種茶のひとつは、私が特に好きな品種である台茶13号「翠玉」で作られたお茶です。翠玉を軽発酵で仕上げると、クチナシやジャスミンを思わせる白い花の香りが際立ちます。その華やかで透明感のある香りは、北台湾の包種茶に非常によく合います。
しかし、翠玉は同時期に育成された金萱に比べると栽培しにくく、生育もやや弱めです。さらに製茶も難しく、技術が不足すると香りのバランスが崩れやすいため、近年では生産者が少なくなっています。
そのため、翠玉の包種茶を見つけると必ず試飲を行い、クチナシやジャスミンの香りが美しく引き出されたものだけを仕入れるようにしています。
今後さらに希少になっていく可能性もある品種ですので、見かけたときにぜひ味わっていただきたいお茶です。
坪林春季文山包種茶コンテスト|優良賞
もうひとつは、今年の坪林春季文山包種茶コンテストで受賞した優良賞のお茶です。
文山包種茶とは、「文山地区」で作られる包種茶の総称で、現在では坪林、石碇、汐止、南港などが主な産地となっています。もともとは南港から発展した包種茶ですが、都市開発の進展に伴い、現在では坪林が最大の産地となりました。
なお、包種茶の歴史や産地の変遷については、『ちょっと台湾Plus 2026年夏季号』でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参考ください。

【デジタル版も】
毎年春と冬には各地で包種茶コンテストが開催されますが、規模という点では坪林が群を抜いています。今年の坪林春季コンテストには1,800点以上のお茶が出品され、その中から特等賞、頭等賞、金質賞、銀質賞、優良賞が選ばれました。
特等賞は1点のみですが、その他の賞は複数選出されます。優良賞は、審査員によって品質が認められた優秀なお茶であり、受賞茶の中では比較的手に取りやすい価格帯で楽しめるのが魅力です。
本来、受賞茶は300g単位の箱購入が基本ですが、「少しだけ試してみたい」という方にも楽しんでいただけるよう、小分けにしてご紹介しています。
また、坪林のコンテストは青心烏龍種のみが出品可能です。
品種を統一した厳しい条件の中で選ばれた受賞茶だからこそ、包種茶本来の魅力を存分に味わっていただけると思います。台湾へ来られる予定のある方も、日本で楽しみたい方も、ぜひ今年の新茶が瑞々しいうちに味わってみてください。
今年も少量入荷した柚花烏龍茶
毎年楽しみにしてくださる方の多い柚花烏龍茶も入荷しました。
今年は3月から続いた雨の影響で、文旦の花の数が例年より少なく、香りも弱めでした。
そのため茶師は、例年以上に多くの新鮮な柚花を使って着香を行い、納得のいく香りに仕上がるまで何度も調整を重ねました。その結果、例年より少し遅れての入荷となりましたが、今年も無事に皆様へお届けできることになりました。
爽やかな柑橘を思わせる文旦花の香りと、宜蘭産の球形包種茶が織りなす優しい風味は、水出しとの相性が抜群です。夏の冷茶として、ぜひお楽しみください。
夏に欠かせない四季春茶
『ちょっと台湾Plus 2026年夏季号』でもご紹介しましたが、これからの季節にぜひ常備していただきたいのが四季春茶です。
私自身も常にストックしており、冷蔵庫にはいつも四季春の水出し茶を作り置きしています。
暑い日に冷蔵庫を開けて、よく冷えた四季春茶を一杯飲む瞬間は本当に格別です。
四季春茶も球形包種茶の一種で、軽発酵ならではの爽やかな花香と軽快な飲み口が特徴です。
手頃な価格で日常使いしやすく、水出しでもホットでも楽しめる万能なお茶です。
『ちょっと台湾Plus 2026年夏季号』で紹介しているアレンジ四季春茶レシピ
お茶はますます「一期一会」になっている
最近、本当によく感じることがあります。
それは、農産物の出来が年によって大きく変わるようになったことです。
以前と同じ農家、同じ畑、同じ品種であっても、今年はまったく違う味わいになっていることが珍しくありません。特に最近の激しい気候の影響で生産そのものが難しくなることもあります。
もちろん、その一方で新しい魅力を持ったお茶との出会いもあります。
私たちが扱っているのは、大手メーカーがブレンドによって毎年同じ味を再現するお茶ではなく、小規模農家が作るシングルオリジンのお茶がほとんどです。
だからこそワインやコーヒーのように、収穫年やロットごとに個性が現れます。
それは大きな魅力である反面、「去年と同じものは二度とない」ということでもあります。
美味しいと思えるお茶に出会えたら、それは本当に一期一会。
気に入ったお茶が見つかったら、ぜひ少し余分にストックしておくことをおすすめします。
今年のお茶もまた、今年だけの味わいです。どうぞゆっくりとお楽しみください。






コメント