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執筆者の写真Pin-chun Lin

毎年待望の柚花茶、今回は紅茶バージョンが楽しめます。


去年のちょっと台湾5月号に、初めて宜蘭冬山の柚花烏龍茶を紹介し、とても人気になり、その後は沢山の方から茶葉を追加で購入したいと連絡が来ました。


今年は同じく花間茶語さんが作った紅茶と4月に咲く文旦の花をブレンドした紅茶をご紹介していきたいと思います。


台湾の文旦は、甘いグレープフルーツのような味ですが、そのお花の香りは柑橘類の花の香りだけでなく、ほんのりクリーミーな香りもして、とても上品な味わいです。また、お湯で入れる時と水出しにする時とは違った味がするので、様々な入れ方でそれぞれ楽しめます。春は爽やかな軽発酵、軽焙煎烏龍茶と一緒にブレンドして焙煎をかけていますが、夏は紅茶と。毎年数量限定ですぐになくなる人気商品です。

台湾文旦の花

花間茶語の若女将、黃羽蓁さんは、冬山地元の茶農家三代目ご主人と結婚する前までは、お茶の素人でした。冬山はお茶の産地だけでなく、文旦の産地でもあります。(ちなみに台湾の文旦は、洋梨のような形をして、現地の人に柚子と呼ばれています。)台湾の文旦花の咲く時期は、毎年の3月下旬~4月中旬まで(実るのは10月頃で中秋節の定番として人気)で、ちょうど春の新茶を作る時期とかぶります。文旦の実に栄養を集中させるために、ある程度の文旦花を摘む作業があります。黄さんは、本来捨てられる予定だった文旦花を使って、自家製の烏龍茶と一緒に焙煎をかけて新しいハーブティー、「柚花茶」を開発しました。主人や義理の両親というプロと違う目線で新たな発想が出ました。現在は、文旦花から始め、様々な花を使い多様なハーブティーを継続的に開発しています。坪林の金木犀や苗栗銅鑼の菊など、様々な素材でトライしている毎日だそうです。


↓こちらは文旦の実。花間茶語の農場にて。


花間茶語の若女将、黃羽蓁さん

宜蘭に引っ越した私は、やっと今年の製茶に参加することができました。

というのは、製茶はその日の天気によるので、「今週土曜日に製茶する」という事ができないのです。もちろん観光客のためにツアーの日にお茶摘みとかは全く問題ないのですが、真剣に良いお茶、そして毎年の優勝賞を目指して作るお茶は、自分が決めた日に作るのではなく、毎日の天気の様子をみて製茶しなければなりません。


4月に入ると、若女将の黄さんに連絡して製茶に参加してもらうように、製茶のスケジュールが分かったら必ず私に連絡をくださいとお願いしました。


「明日は天気が良いそうなので、製茶しましょう!」と夜9時に連絡が来て、翌日に車で山のふもとに着いたら、「うーん、天気は良いけど、茶葉の成長がまだもうちょっと、あと3日間くらいかな。」と若主人が言っていました。


「でも、これから1週間ずっと雨じゃないですか?」と思わず質問をしました。

「そうだけど、それはまたその時に考えよう。今刈ると絶対美味しくできないから。葉っぱがまだ若いから風味が薄いのだ。」

花間茶語の有機栽培茶畑(台茶12号金萱)

それからは予想の通り、雨が1週間続きました。

でも、急に連絡が来ました。


「雨が今ちょっと止んでるから今から刈るよ!午前中に終わらせないと午後にまた雨が来るらしい!」と黄さんが電話の向こうで言っていました。

慌てて出かけた私は、茶葉刈りの後半より参加することができました。

茶葉刈りの様子

茶葉の新芽をとり、しばらく広場で「日光萎凋」という、水分を飛ばすための作業です。

作業というより、刈った茶葉を均等に敷き、丁寧に虫や雑草を取り出しながら茶葉の水分が飛ぶまで暫く待つ、ということです。

あまり萎凋させない日本の緑茶と違って、台湾茶は味だけでなく、香りを追求して香り高いお茶を製造するのが目標(コンテストにおいても香りの高さが点数を左右)で、萎凋という工程で葉っぱの中の水分が飛んでいく同時に、香りも高くなります。だが、水分が少ないほど香りが高くなることでもありません。そして生の茶葉が香り高くても、加熱し乾燥した茶葉の香りと違うことで、生の状態で出来た茶葉の香りを予測しながら次の工程に入る時間を決めます。また、香りというのは、計量できないので、全て経験値と茶農家さんの鼻で決めます。


「年配の方で鼻が効かない場合はどうしますか?」と質問しました。

「それは今までの経験によるのだ。」と答えられました。


なるほど!おばあちゃんが料理して、試食しなくても大体の塩加減が分かる、ということと一緒だよね!と思って理解しました。

要するに、最初の頃、鼻で判断できなければ沢山作らなければなりません。料理と一緒で、最初はレシピ本を見たり、先生の所で習ったり、そのうち生の食材がどのような料理になるのも分かってくるし、調味料の組み合わせも自由にできるようになりますね。


日光萎凋の後は、24時間の室内萎凋→300度で15分間加熱→揉捻→乾燥→整形(丸い形にする)→精製(枝や破れた葉っぱを取り出す)→再乾燥 

という工程でようやくお茶が完成(せめて2日間の時間が必要)し、もちろん全ての工程は茶葉の状態によって時間や温度、湿度などを調整しなければなりません。

一服のお茶が飲めるまで、どれほどの努力が詰められているのかを、もう一度感動しました(というか毎回感動しますけど笑)。

ここでは詳しくお茶の製造工程を書きませんが、インスタクラムのストーリーズハイライトでお茶の作り方を整理しました。ご興味のある方はそちらへhttps://www.instagram.com/shiang__tsai/


ということで、ちょっと台湾6月号は、柚花紅茶をお届けします。


ちょっと台湾6月号、募集始めました!


+++++「ちょっと台湾」とは、毎月違うテーマとした台湾茶と伝統茶菓子を紹介し、お家で楽しめる台湾茶MeTimeのプチギフトセットです。+++++



今回の内容:

・台湾茶|宜蘭冬山の柚花紅茶

台湾の東側にある宜蘭県冬山郷は、台湾文旦の産地。文旦とお茶を栽培している茶農家さんが、毎年この時期に咲く文旦の花をお茶とブレンドし期間限定のフローラルティーが生まれます。


・台湾お茶菓子|昭和の紅豆丸(ホントーウアン)

こし餡と砂糖で出来た紅豆丸は、一見和菓子のふぶき饅頭のように見えるが、食べてみるとしっかりとコシが残されて、意外な食感と、台湾と日本は似たようで違うのが興味深い。台湾の日本植民地時代〜60年代にかけて贅沢なお菓子が、今はレトロ駄菓子として知られています。昔の時代では、砂糖と小豆(紅豆=小豆)は高級品の代表として、物資が乏しかった時に生まれた素朴で飽きない味のお菓子。台湾のおばあちゃんたちが懐かしくなる一品。






今年の柚花烏龍も入荷したので、ご注文はこちらへ


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