

野放で生まれた蜜香、そして1,680mの高さで栽培された高山茶
今回ご紹介する「野放蜜香高山茶」は、1月号でご紹介した「野放高山貴妃茶」と同じ茶葉を使用し、軽焙煎で仕上げたよりライトなバージョンです。
「貴妃茶」は、ウンカに噛まれたことで蜜のような香りを持つ茶葉を使用し、凍頂烏龍茶のように中程度の発酵と焙煎を施したお茶ですが、今回の「野放蜜香高山茶」は、いわゆる高山茶と同様に軽い発酵と軽い焙煎で仕上げられています。そのため、緑茶に近い清涼感と高山茶特有の余韻が楽しめます。さらに、野放管理の茶畑で意図的にウンカに茶葉を噛ませることで、蜜香をまとった高山茶が生まれました。
野放茶とは?

野放茶とは、もともと人が挿し木や種子から植えた茶樹(挿木が多い)が、長期間にわたって最小限の管理で育てられた茶のこと。茶畑としての形を保ちつつも、剪定や施肥がほとんど行われず、自然に近い状態で成長する。
特徴
自然に近い栽培方法
剪定が少なく、茶樹が自由に成長する。
野草と共生し、農薬や化学肥料をほとんど使用しない。
風味が個性的
土壌や環境の影響を受けやすく、力強い香りや渋みが出やすい。
樹齢が長い茶樹が多く、深みのある味になることも。
希少性が高い
大量生産が難しく、多くは手摘みで収穫される。
高地や山間部で育つことが多く、流通量が少ない。
野生茶との違い
野放茶 | 野生茶 | |
起源 | 人が植えた茶樹(挿し木・種子) | 完全に自然に生えた茶樹 |
管理 | ほぼ放置されているが、元は栽培茶 | 一切人の手が入らない |
生育環境 | 放棄茶畑や山間部で半野生化 | 深山や原生林で自然発生 |
茶葉の特徴 | 比較的大きく、力強い風味 | 変異が多く、葉の形や成分が多様 |
台湾では、一部の高山茶や在来種の茶樹が、野放茶に近い形で栽培されています。特に自然農法にこだわる茶農家では、農薬・化学肥料を使わない野放茶のようなお茶を作ることもあります。

玉山の海抜1,680mの野放茶畑を管理し、自ら丁寧に製茶を行う尚芳製茶廠の張さん。
実は、私自身も今回初めて蜜香のある高山茶を飲み、その新鮮さと希少性に驚き、ぜひ皆さんにもご紹介したいと思いました。1月号でご紹介した「野放高山貴妃茶」を気に入られた方には、ぜひ試していただきたい一品です。
また、1月号の「野放高山貴妃茶」と飲み比べることで、同じロットの茶葉を異なる焙煎度で味わうことができます。焙煎によって甘みがより引き立つため、貴妃茶の方が蜜香を強く感じられましたが、軽焙煎の高山茶に蜜香が加わることで、これまでの高山茶にはなかった独特の風味が生まれています。ほのかにマスカットのような香りが漂い、まるで雲の上にいるような軽やかな甘さが印象的です。
伝統の技で仕上げる手作り糖葱

今回、この「野放蜜香高山茶」に合わせるお菓子として選んだのは、「糖葱(タンツォン)」という伝統的な飴です。日本統治時代、台湾の砂糖は日本政府に独占され、庶民が自由に手に入れることは困難でした。そこで、人々は取り締まりを逃れるために、砂糖をネギの形に加工し、飴として偽装したと言われています。こうして生まれた「糖葱」は、現在も伝統菓子として受け継がれています。

この飴は高度な職人技を要するため、作ることができる職人は今ではごくわずか。今回は、三峡老街の名職人・卓さんに特別に作っていただきました。特に、中が空洞になっているものはサクッとした食感が楽しめるとのことで、今回は空芯のものをご用意いただきました。材料は砂糖と水のみ。水飴さえ使用しないシンプルな製法だからこそ、繊細な蜜香高山茶の香りを一層引き立てるのではないかと考え、ペアリングをしてみました。


【月1の台湾茶通信】「ちょっと台湾」2025年4月号、応募受付開始!
・台湾茶|野放蜜香高山茶
一月号でご紹介した大人気の野放高山貴妃茶の無焙煎バージョンが登場!野放茶畑でウンカに噛ませることで、海抜1,680mの玉山高山茶に甘い蜂蜜の香りが加わりました。中焙煎の貴妃茶と比べ、さらに軽やかで、まるで雲の上を歩いているような繊細な味わい。市場ではめったに出会えない蜜香高山茶を、この機会にぜひお試しください。
・茶菓子|古早味糖蔥
日本統治時代、台湾の砂糖は日本政府に独占され、庶民は入手が困難でした。そこで、取り締まりを逃れるために、人々は砂糖をネギの形の飴に加工し、偽装したといわれています。こうして生まれた「糖蔥」は、今も伝わる伝統菓子です。高い技術を要する手作業のため、現在作れる職人は少なく、今回は三峡老街の名職人・卓さんに特別に作っていただきました。
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